TAMAフットペダルには独自のアイディアを持ちながら時代の流れに大きな影響を与えたモデルが沢山あります。代表的な機種としては今でも熱心なファンが多い国産初のチェーンペダル、カムコ。今では見ない真円のギアーにチェーンがむきだしに取り付けられて、アンダプレートも無い非常にシンプルなモデルでしたが、このペダルの登場はその後の各メーカーのチェーンペダル発売に絶大な影響を与えました。また国産ではチェーンで初めてオーバルカムを採用したDP-145やこのモデルでは国産初のツインペダルも登場!

この時代の国産3社のペダルには各社それぞれの個性があり、中でもTAMAはその後の各社のフットペダルに大きな影響をもたらすような先駆的な役割を果たしています。

そして93年に今回ご紹介のアイアンコブラの初代モデルが登場!このペダルの発売は、またもやその後各社のペダルに絶大な影響を与えたことは間違いなく、現在の多種機能ペダルの元祖と言える大ヒット商品となりました。
その画期的なアイディアはTAMAというブランドの個性でもあり、他とは違う製品を作りだそうとしている商品に対してのポリシーさえ感じる部分があります。
アイアンコブラは、ビーターとフットボードが独立して調節が可能となり、またビーターヘッドが可変または変更が可能で、1本のビーターで音色の選択も幅広くできるようになりました。
また希望の機能に合わせてパーツの補充もできるカスタムメイド的なスタイル等、今では当たり前のようですが、これもTAMAアイアンコブラの先駆的な仕事と言えます。
その後、各社からアイアンコブラの影響を受けたモデルが続々と登場して、元祖モデルでは機能的にもやや古い印象とアクション改良の希望が強くあり、98年には遂にフルモデルチェンジを果たし現行タイプの発売となりました。
発売後5年の歳月が経ち、最近発売のYAMAHA、PEARL等の最新モデルと比較するとやや選択できるアクションが限られているような印象がありますが、そこがTAMAの個性であり、どんなアクションも再現可能のコンビニエンスなペダルとは一味違うメーカー独自の特徴があるとも言えると思います。

HP900P

メーカー・・・・TAMA
商品名・・・・HP900P IRON COBRA POWER GLIDE
定価・・・・¥19000
販売価格・・・・¥14250
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3種類あるアイアンコブラの中でPower Glideと呼ばれるオーバルカムのモデル。パワーを求めるスタイルにもっとも人気があり、最近の各社のモデルと比較すると基本的なアクションはやや重めの感がありますが、抜群の安定感はさすが元祖多機能ペダルと言えるでしょう。最近の他の国産機種でこれに似たアクションがあるのもアイアンコブラの驚異的な人気の影響と言えます。機能についてはビーター、フットボードの独立した可変ができ、最大の特徴は、ビーターヘッドの可変によって生み出される迫力ある音色だと言えるでしょう。とにかくパワー重視のドラマー中心にお奨めのペダルです。また専用ハードケース付きで価格的にもお買い得。

HP900P

テスト平均値

踏み心地 3.5
★★★
反応 3.5
★★★
安定感 8.3
★★★★★★★★
スプリング 5.3
★★★★★
サウンド 4.5
★★★★
機能性 3.8
★★★




HP900P

Power Glide カム・・・
アイアンコブラの真円カムの上部をカットして、いわゆるオーバルカムのアクションを生み出す形状。初動時が軽くヘッドにヒットする時に一番ビーターの遠心力やパワーが伝わるので、音量を出すために適した形状です。特にTAMAのオーバルは他社の軽いアクションよりも音量が出せるアクションを追求した形状のようです。またチェーンの取り付け部に少しだけギアがあり、よりアクションのロスが無いように工夫がなされています。こんな細かい配慮はTAMAならでは。

スプリングタイト・・・
スプリングテンションを調節するプラスティックナットがロック可能。緩みを防止します

HP900P

バリピッチ・ビーターホルダー・・・
ビーターのみの角度が自由に設定可能な機能。内側のナイロンブッシュがシャフトに固定されていて、外側の金属部分が無段階に調整可能です。しかし、この調節をするにはビーターをかなり起こした状態の作業の為、希望の角度にするには、慣れるまで何度が細かい調整が必要となるのが、やや不満。六角レンチを使用。

オイレス ベアリングヒンジ・・・
ヒンジ部は樹脂系の効果からなめらかなすべりを狙った”オイレス”という名称のベアリングを採用。フットボードの横ブレ防止など安定感向上に役立っています。

HP900P

パラクリップⅡ ・・・
フープへの取付け部分の角度が変わるため、バスドラムを浮かした状態やアンダープレートによるヒール側の浮きなどを防止する機能です。フットボードの右側で締め付け可能です。
スピーディオリング・・・
クイックフックが掛かる部分。小型のベアリングを採用して、よりスプリングの動きとシャフトの回転をスムーズにするための機能です。またこの部分の上部のボルトを緩めるとフットボードの角度が調節可能。

クイックフック・・・

収納時にコンパクトになるように簡単な取り外しを考慮した大型のフックを採用。ビーターを付けたままスプリングテンションが掛からない状態で収納するには便利。付属のケースにはこの状態で収納されています。

HP900P

アイアンコブラビーター ・・・
このビーターの発売が世界中のメーカーに与えた影響はかなり大!小さめヘッドに当たる部分の角度が可変することで、ヘッドと面で当たることが可能となった画期的なシステムです。従来のフェルトビーターなどは踏み込んだ力加減によって表面の一部しか当たらないの対して、このビーターはピアニシモから大音量まで常に同じ面積が当たっていることから、ピアニシモでも粒だちがあり、そのままの音色で音量コントロールできる点ではかなりの優れものです。
初期型では可変部分が確実にホールドできない事もありましたが、現行モデルは改良されています。またやや重めのビーターでしたが、止め金具を樹脂に変更し軽量化されています。それでも、まだやや重いように思いますが。。。

HP900P

 踏み心地(重 1⇔10 軽) 平均3.5

SAI 4 少し重い。特に付属ビーターでは細かいコントロールでその重さがかなり気になる。
バランサーを外せばかなり良くなるが。。。
ゴン太 4 重く、こちらの意図がまったく伝わらない。
かなり厚ぼったい印象。
ろく 4 重たい。
KOTALO 3 重い。
とら 3 重くて扱いずらい。
HAJI 3 踏まされている感じ。

HP900P

 反応(鈍 1⇔10 敏) 平均3.5

SAI 5 悪くはないが、少し踏み込みに力を加えたくなる感覚が鈍い印象につながる
HAJI 5 コントロールできるが、頭つかれる。
KOTALO 4 鈍い。
ろく 3 良くは無い。
とら 3 遅い。
ゴン太 1 かなり遅く、変に返りがきつ過ぎる。
足首を硬直して踏む癖がついてしまいそう。

HP900P

 安定感(悪 1⇔10 良) 平均8.3

SAI 10 問題無し。
とら 10 十分すぎて重いのかも。
ゴン太 9 どっしりとしているがかなり窮屈。
ろく 9 ガッチリして安定している。
HAJI 8 落ち着くが、重すぎて他人行儀。
KOTALO 4 重いし鈍いので、いくら安定感があっても意味がない。

HP900P

 スプリング(悪 1⇔10 良) 平均5.3

HAJI 10 問題なし。
ゴン太 5 スプリング自体には、さほど問題を感じないが、ペダルの構造がスプリングの良し悪しを関係なくしてしまっている。
ろく 5 硬い感じで、強く張ることには向かない。
KOTALO 4 そんなことまでとやかく言える域ではない。
とら 4 スプリング自体はそんなに悪くないと思うが、ペダルの重量に負けて、スプリングが機能出来ていない感じ。
SAI 4 やや硬いのか、一番緩くすると戻りがイマイチだし、張るとすぐに重くなる。
交換すれば、この手の印象の解決にも繋がるでしょう。

HP900P

 サウンド(悪 1⇔10 良) 平均4.5

SAI 6 音量は出せます。特にビーターの特性から小さい音から大きい音まで同じ音質で
ダイナミックスがつけられるのが最大の魅力。
ろく 6 ビーターのためかアタックが強い。
HAJI 5 大きい音は出しやすいが、小さい音は出しにくい。
とら 4 アタックは出るがまとまりが悪い。
KOTALO 3 良いとはいえない。
ゴン太 3 布団をたたいている感じ。
音に芯がなく、音域もかなり狭い。
こちらの出したいポイントから10km位遠い位置で鳴る。
サウンドコントロールもまったくといっていいほどできない。

HP900P

 機能性(悪 1⇔10 良) 平均3.8

HAJI 5 なんでビーターの角度のとこだけ6角レンチ?
ろく 5 難しい所は無いが、ガッチリしすぎている気がする。
SAI 4 ビーターの角度調整などバスドラムにセッティングした状態ではかなり無理な姿勢での作業になる。外すと楽だが、数回の調整が必要となるのがやや不便かな。
とら 4 中途半端な感じなので。
KOTALO 3 機能性が優れていても意味がない。
ゴン太 2 特に問題はなく、いろいろと考えてあるがそれがかえって肝心な部分を悪くしてしまっている。

HP900P

 気になった点

とら 見た目どうり重いし、反応が鈍すぎる。
SAI 調整機能が豊富でありながら、それぞれの調整が激変はしない事。例えばもう少しビーターを寝かしたらどうかと試しても、思ったより寝かす事になるなど、微調整の幅が意外に狭いのかも。
もう少し安いと良いが専用ハードケースが付属なども考慮すると適価なのかも。
HAJI とにかく重い。踏まされている感あり。
ろく トゥーストッパーは外したほうがよい。このビーターは好きになれない。
KOTALO 付属のビーターはなんだか変で、サウンドに貢献してるとは思えない。
ゴン太 全て。

HP900P

 総評

SAI 音量重視のスタイルやアクションに対してやや重めに踏み込みなどが好みの方。安定感は非常に優れているのでパワープレイの方にもおすすめ。
好みのアクションであれば、全他的なコントロールも問題無いと思います。しかし、若干の癖も感じるので初心者よりは中級から上級者向きのアクションかもしれません。
KOTALO なんでこんな不自然な踏み心地?鈍い重い。いったい何故このアイアンコプラが一世を風靡したのかさっぱりわからない。
絶対TAMAが好きな人。やっぱりTAMAが好きな人。どうしてもアイアンコブラが欲しい人ならいいんじゃない?
HAJI

体重80kg以上の人向き。
5分間で疲れました。ほしくない。

HP900P

 総評

ろく このペダルはさまざまな部分で「重さ」が目立つペダルだと思いました。見た目や重量、そして踏み心地と、今まで試してきたペダル中で一番ヘビー。シンプルなフェルトビーターに変えると踏みやすくなり、サウンドも良くなると思う。
とら

好きなドラマーが使っていて、どうしても欲しい方以外はあまり勧められません。
人気の機種だとは思いますが、僕には人気の秘密が謎です。

ゴン太

p-2000cよりは扱いやすいと思うが、このペダルを使っているとかなり奏法と感覚が悪くなってしまうと思う。