■ 歴史

現在、ニューブランズウィックにあるSABIANカナダ工場は、1968年にZILDJIANのカナダ工場として創業を始めました。カナダ工場では、トルコのイスタンブールK.ZILDJIAN工場の閉鎖に伴い、熟練したハンドハンマリング技術を持った職人達が移り住み、主にハンドハンマー系シンバルの製造が行われていました。当時はZILDJIANシンバルの約40%がこのカナダ工場で製造されていたそうです。

現在の会長である創立者のボブ(ロバート・ジルジャン)氏がカナダに工場建設を決めたそうです。この土地は休日に釣りを楽しんでいたこともあり、お気に入りの場所だったそうです。

1979年にボブの父であるアヴェディス・ジルジャンが死去した後、兄弟のアーマンドとの共同経営となりましたが意見の対立から、1981年にアーマンドがAVEDIS ZILDJIAN CO.の商標とボストン工場を取得。そして、ボブがカナダ工場での製造権を取得し、二人は別会社でシンバルを製造することとなります。ボブが受け継いだ遺産の中には、イスタンブールのK.ZILDJIAN工場から移り住んだ名工、ケロペ・ジルカンの存在も含まれていました。ケロペは1990年代に92歳で亡くなるまで、SABIAN社でハンドハンマリングの指導を続けたと言われています。

家族を大切にしているボブは、カナダ工場で製造するシンバルのブランド名を3人の子供、SALLY、BILLY、ANDYの名前の頭文字を取り、SABIANと命名しました。

創業当時は、無名ブランドであるため非常に苦労されたそうです。AVEDIS ZILDJIAN CO.の社長となったアーマンドからは、来年にはSABIANはなくなるとまで言われたそうです。
現在では、シンバルのトップブランドとして世界中で愛用されています。


カナダのニューブランズウィックにあるSABIAN工場